嘘つきを肯定する

 嘘つきは信用出来ないって言うけれど、嘘がつけない人はもっと信用出来ない。

 嘘がつけない人って言うのは、自分の中の矜持やら宗教観やら正義感やらが強すぎる人のことだ。 嘘という言葉の悪しき側面しか見えず、その利便性に頭が回らない、あるいは知って尚、潔癖な自分に酔いしれたいナルシストだと思う。

 遊んでても疲れたら疲れたと言うし、ご飯のタイミングじゃなくてもお腹が空いたらお腹が空いたという。 少しでもつまらなく感じたらつまらないと愚痴るし、帰りたくなったら帰る。 フェラして肉棒が臭いと感じたら臭いと言うし、ピストンがイマイチ気持ちよくなければ押し飛ばしてオナニーに切り替える。 正直者と言えば聞こえは良いが、気は使えない、お世辞も言えない、思ったことは全て口に出し、隠し事も出来ない。 要は我慢の出来ない我儘者だ。

 そんなバカ正直と真っ向から付き合えるほど、私は清い人間ではない。 多少疲れても場の空気の為に気を張ってほしいし、多少の空腹は我慢して欲しい。 つまらなくても何か打開しようという動きを取ってくれたら状況察して場の空気変えようと動けるし、帰りたかったけどノリで残ったよ、なんて言われたら抱きしめてクンニしてあげたくなる。 臭いのにしゃぶりつくお前の心を愛しているし、演技を感じたらクリやら尻やら他の場所の愛撫に切り替えて感じてもらう努力をする。 そうやってツギハギしてこその人間関係だろう。

 だから私は、上手に嘘をつける人間になりたいと思う。 自己利益の為の嘘つきではなく、周囲の潤滑剤として、嘘という名のオイルを塗布する職人で在りたいと思う。

 本当は女子もいたんだけど、男だけの飲み会だって話すよ。 どうしてもチキンタツタしたくて帰宅路で買い食いしてお腹いっぱいになっちゃったけど、残業で上司からパン貰ったってことにするよ。 今朝、貴女が回収してくれたPCデスク上の紙くずは、ゴミ箱無いのを忘れて深夜にオナニーした名残なんだけど、鼻かみティッシュだって私は主張するよ。

 わざわざ真実を言って貴女を傷つける必要はない。 これは、優しさ。 誰も傷つけないための、優しい嘘――――(全力で自己利益)

Leave a Reply