年末だし、久しぶりにハメタロウくんとカラオケに行きました。
何があったのか、一時期は祖母レベルで老け込んでいたハメタロウくんも、ちょっと見ない間に親戚のおばちゃんくらいまで若返っていました。 聞くと、彼は会社を辞めてしまったとのこと。 忙殺されていた日々から解放され、若さを手に入れる。 理屈としては適っていますが、人間ってそんなに簡単なものだっけ・・・。 自分も気をつけようと思いました。
さてカラオケです。 ハメタロウくんのリクエストで2,000円以内でフリータイムのあるカラオケボックスを探します。 しかし、年末と言うことでどの店も特別料金。 たまたま見つけたラウンドワンも、ワンオーダー加えると2000円オーバー確定でハメタロウくんのオーダーには合いません。 2,000円以内と言ったら、例え世界で核戦争が起ころうとも、ビタ一文多く払わないハメタロウくん。 無理とは知れど、念のため、おそるおそるハメタロウくんに価格を申請してみました。
「・・・おう、いいね。 じゃあそこにしようぜ」
えっ? 僕は耳を疑いました。 あの金にうるさいハメタロウくんが、2,000円オーバーをあっさりと許容するなんて・・・。 しかも彼は会社を辞めているのです。 自動販売機の釣り出口を漁ったり、コインを入れると願いが叶う泉で潜水泳法を試したいくらい金に困っているハメタロウくんが、数百円の超過分を受け入れるなんて考えられない。 どうしちまったんだ彼は。
カラオケ中もそのことばかりに考えが走って、全く音楽に集中出来ませんでした。 はしゃいでシャウトするハメタロウくんは、何処か強がっているようにも見えます。 まさか、一時の見栄の為に、数百円のオーバーを許容したのか・・・? いや、彼に限ってそんな事は考えにくい。 でも、仕事を辞めてヤケになっている可能性も・・・? あぁ、集中出来ない! 集中出来ずに、ついつい失恋ソングばかり歌ってしまう! ハメタロウくんが誰かに失恋したワケでもないのに、なんで! あぁ、One more time, One more chance!(こんなとこにいるはずがないのに)
カラオケが終わり、遂に恐れていた会計の時間です。 もしかしてハメタロウくんは、店員にいちゃもんをつけるつもりなのではないか? 「俺様は一人2,000円以内の店を探してたのに越えてるじゃねーか!過分は俺のマグナムをお・も・て・な・ししてもらうぜ!オラッ、耳の穴貸せ!」とか急に言い出したらどうしよう? 大切な友人とは言え、同性に対する強姦が目の前で行われた場合、僕も止めなくては共犯になってしまいます。 タンクローリーみたいな外見のハメタロウくんをどうやって止めようか、僕は警戒の色を強めながら個室の扉を開きました。
そして今回も、不安・心配は杞憂に過ぎず、僕は最初からハメタロウくんの掌で踊らされているだけだったのだと、思い知らされることになるのです。
「・・・ちょっとトイレ行ってくるわ」

はいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいそういうことね。
こんな手法使ってくるのなんてクソビッチ系女子だけだと思ってましたが流石はハメタロウくん。 会計直前にトイレに駆け込み、その間にお金を支払わせる常套テク、ここで発動です。 あー、これはやられたわ。 椅子も待機所も無い場所でこんなことされたら先に払うしかないもの。 あざとい、ホントハメタロウくんはあざといなー。
彼は仕事を失い、この後もきっと家まで送ってくれるのでしょう。 その辺の都合や恩義を考えれば、このまま払うのがスマートなのかもしれません。 ・・・が、僕も一方的にやられているだけでは性に合いません。 仕事辞めたのは彼の都合だし、家まで送ってくれるとも限らない。 彼とのラブホ行きを拒んだ女のように、用済みの僕を路上に投げ捨てることだって考えられる。 だとしたら、貰うものは貰わなくては! 心を強く持つんだ、僕!
トイレからいけしゃあしゃあと出てきたハメタロウくんに、僕は勇気を持って会計を請求します。 すると、予想に反して財布を取り出すハメタロウくん。 あ、あれ? 随分アッサリだな。 これはもしかして本当にトイレ行きたかっただけで、会計の事なんて深く考えてなかったんじゃないか? 僕が疑いすぎていたんじゃないか? そんな懸念が頭を過ぎります。
「いくら?」
「あ、あぁ、ええっと、4,200円・・・別に2,000円で・・・ファッ!!?」

皆様は、僕が前回書いた日記を覚えていらっしゃるでしょうか。 前回、僕が彼に居酒屋の会計をおごってもらった時の話です。 リンクを辿るのも面倒な方の為に、一部抜粋すると、
ハメタロウくんには二つの狙いがあったのです。 一つは、突発的におごることで、僕に貸しを作ること。 ただより高いものはない、その通り。 彼は目に見えない恩義の縛りで、僕の自由を奪おうとしたのです。 まあ、確かに金の亡者に金を払わせるなんてのは、僕のピュアハートに大きな影を落とします。 彼の作戦は成功したと言っていいでしょう。
そしてもう一つ。 これが実にあざとい。 数十円単位の金銭を、会計の度に多くもらうことで、小銭貯金をしようとしているのです。 次回以降、ワリカンでメシを食う時も同じ要領で小銭を多く出させ、最終的には自分がプラスになろうという腹づもりなのです。 今回はあくまでも布石。 一度前例を作ることで、次回以降断りにくくなるような地盤を形成したのです。 あざとい、実にあざとい。
ここまで来るともうおわかりですね。 彼は前回の悪魔のような計画を、遂に実行に移したのです。 しかも、71円なんて微々たる金額じゃない。 いきなり200円、実に約3倍の大幅搾取です。 それも彼からは求めず、幾重にも策を張り巡らせ、最終的に僕が自主的に払ったかのように仕向け・・・クッ! 自主的だって!? これは完全なマインドコントロールだよッ!
よくよく考えてみれば、2,000円越えると判った時の僅かな沈黙。 あの沈黙から既に、この計画は発動していたのかもしれません。 これが職を失うと言うこと、これが人を陥れると言うこと。 先行投資を忘れた頃に回収する、これがハメタロウくんの悪魔の手腕! 恐ろしい、僕は人間の恐ろしさを再実感致しました。 人間って、お金って、恐ろしい!
200円程度で何言ってんだお前wとお思いの貴方、甘い、甘すぎる。 この三倍返し破牝(はめ)沢直樹戦略、たかだか200円程度、これが完全にテンプレート化され、エスカレーションしたらどうなるか。 簡単な例をお見せしましょう。
例1)
僕「お前がフランス料理なんて珍しいな・・・ 今日は美味しかったよ! じゃ、そろそろ出ようか!」
ハ「あ、ごめんちょっとトイレ行ってくるわ 会計いくら?」
僕「おk、じゃあ先払っとくね 会計42,000円らしいから、お前20,000円でいいよ」
例2)
僕「お前が車買うのに僕を呼ぶなんて珍しいな・・・ いい車見つかったみたいで良かったじゃん! じゃ、そろそろ出ようか!」
ハ「あ、ごめんちょっとトイレ行ってくるわ 会計いくら?」
僕「おk、じゃあ先払っとくね 会計4,200,000円らしいから、お前2,000,000円でいいよ」
例3)
僕「お前も遂にブタ箱に入っちまうとはな・・・ 未成年や人妻は辞めとけってあれほど言ったのに・・・保釈金とか払えるの? まだニートなんだろ?」
ハ「あ、ごめんちょっとトイレ行ってくるわ 保釈金いくら?」
僕「おk、じゃあ先払っとくね 保釈金4,200,000,000円らしいから、お前2,000,000,000円でいいよ」
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その作戦、気付かないふりをするから
いくらでも騙されたふりをするから!
僕たちの友情に比べたら
そんなはした金に何の価値もないから!
僕たちの友情は
永遠に不滅だお(^v^)ノ
とりあえず早く働きなよ あ、皆様良いお年を
