自分を救う為に他者を蹴落とす姿は実に貴女らしい

 人を恨むことで楽になれることもある。 相手側の主張がわからない中、状況証拠だけで仮想敵を作り出し、一人っきりの戦いでも己に対する正当性を掲げる。 真実なんてどうでも良いんですよ。 自分の覚悟に信頼を置けるようになるなら、時に妄想のスパイスも必要だ。 ここに来てからの僕がずっとそうだった。

 そんな僕を潰したいのなら、手段は否定でも肯定でも無い。 だってそうだろう。 否定されたって「僕だけが知っている」「コイツは隠し事をしてる」って更なる妄想に身を任せれば良い。 肯定されたって「コイツは僕の妄想なのになんで間に受けているんだろう」と斜に構えれば良い。 妄想相手に正攻法なんて無意味だ。

 正解は、別次元からの同情、心配。 事実関係は違うけど、でもそうやって恨みをぶつけてればラクなんだよね? じゃあ私は受け入れてあげるね、ごめんね辛い思いさせて・・・なんて表面を撫でるような戯れ言が適切だろう。 この言葉を投げかけられた瞬間、僕の内部に渦巻いていた僕だけの小さな戦歴史は、相手の掌上で転がるだけの茶番劇に成り下がる。

 

 先日、まさしく上記を喰らった。 相手はかつて僕を徹底的に叩き潰し、今尚たくさんの仲間に囲まれて幸せを満喫している魔女そのものだ。 僕は敗者らしく影に引っ込み、全ての財を明け渡して、息を潜めながら日々をやり過ごしていた。 自分でも曲解していると知りながら、ありもしない導火線を必死で探し、立ち上らない炎を演出しようと煙を蒔き、鬱屈した感情を発散していたんだ。

 そこに彼女は現れた。 実に数ヶ月ぶり、誤解を解消したいと突然詰め寄ってきた魔女は、その目的とは裏腹に、これといった主張はしなかった。 誤解があるの一点張りで、あとは僕の考えを聞きたいというのだ。 僕は溜め込んだ黒い感情を吐き出した。 吐き出すつもりがないものまで、余計に吐き出した。 全て吐き出したのに少しも爽快感を得られぬまま、肩を上下に揺らして息切れする僕に、魔女はそっと告げる。

 

 「嗚呼、スッキリした。 誤解を解消出来て良かった。 で、あなたはどうしたいの?」

 

 誤解がある以外の主張をせず、吐いた質問には正面から向き合わず。 それでも魔女は言い切ったのだ。 嗚呼、スッキリした、と。

 僕は何も求めていないと言った。 何も希望していないと言った。 すると魔女は、続けざまに手を差し伸べてきたんだ。 君さえ良ければ光の下に引き上げてあげる、と。 やり取りは文章上で行ったので表情は見えなかったが、どう、破格の待遇でしょ?って文面が顔面に張り付いていたに違いない。

 僕は拒絶した。 だって、魔女に敗北した際、全ての財を投げ出したのは事実だ。 ここでへりくだったら、何の為に投げ出したのかわからなくなる。 使用人も古くから付き合いのある豪族との繋がりもみんな捨てたのに、あの離別の悲しさが、絶望が、全て無価値に落とし込まれてしまう。 投げ出されたものは返って来ないのに。

 僕は拒絶した。 当然の対応だと思っていた。 今だってそう思っている。

 

 「私が近づくことで苦しめるだけだったね。 いたずらに傷つけてごめんね。 もう絡まないからね」

 

 電撃が走った。 この文章が流れてきた時、僕は初めて此度の茶番の真意に気がつき、同時に、やられた、と思った。 魔女は、僕では無く、妄想の砦を崩しにかかっていたのか。 僕の当然の拒絶は、魔女にとっても当然の予定調和だった。

 戦いに勝ち負けこそ在れど、善悪は無い。 僕は敗者だが、善でも悪でも無い。 負けたから、勝ったものを妬んでいたに過ぎなかった。 勝者が得る唯一のデメリットが恨み辛みだと、当然の責め苦だと、僕は胸を張って逆恨みしていたのだ。

 だがこの言葉で、根底が崩れた。 負けた僕が尻尾を巻いたのでは無く、負けた僕をこれ以上傷つけるのが可哀相だから身を引く。 どっちが弱いかではなく、どっちが正しいか。 魔女は僕との和解など初めから求めていなかった。 ただ、自分が悪者になるよう装うことで、全ての正当性を、善の結晶を奪っていきたかったのだ。

 そして、その目論見はアッサリと達された。 シーンは勝者と敗者から、優しい大人と意地っ張りな子供にシフトし、自分に出来る施しは全て行った、という満足感と充足感、優しさを意地張って拒んだ、という罪悪感と無力感が、それぞれに灯っていく。 恨むことで維持出来ていた精神が、容易く瓦解していくのを感じた。 人間は脆い。

 

 攻撃はまだ収まらなかった。 最終的に、僕からの質問や疑問は全て薙ぎ倒したまま、もう絡んで欲しくないんだね?と契約のハンコを迫るように魔女は詰め寄ってきた。 衝撃に思考がフリーズしていた僕は、そーですそうなんです、と、鸚鵡返しで僕はシャチハタを押し付ける。 そこで会話は終わり。 はい契約書頂きましたと、その言葉がログで欲しかったんだよねと、唐突に僕らの世界は断絶した。

 やー、そん時のログを晒してえくらいですよ。 僕のことなど1mmも考慮していない、自分の保身と正当性を高める為、ただそれだけの為に行われた茶番劇。 魔女はもう、僕を思い出すことすらないだろう。 感情的なログを残したら負け、と言わんばかりに心を殺し、腹立たしい僕からの罵声にも「私は気にしてないよw」とポーズを取り続け、そして目的を達成したら鮮やかに場を去る。 これはプロの所業だよ。

 彼女は目的を全て達成し、多大な戦果と共に我が元を去った。 「自分は精一杯の誠意を見せた」「拒絶しているのは僕」 今頃、仲間たちに話して回ってるのかな? 勇気を出して話しかけたけど、拒絶された(T^T)ひどい言葉をたくさん浴びせられたし、ブログでもたくさんネタにされて辛い(T^T)ってトコかな?

 成る程、誰が聞いてもどう見ても、悪いのは圧倒的に僕だ。 ワガママを吐き散らす小僧の話を聞いて、優しいみんなは暖かく囲んでくれるのだろう。 寂しさを埋めるのに、これ以上の材料は無いね。 どうぞ、思う存分美酒を味わってくれ。 何なら、此処のURLを晒してくれたって結構。 アイツ最低だな、なんて輪唱でも奏でて下されば宜しい。

 僕にはもう、何も失うものが無い。 大切な友達だと思って相談していた人たちは、その一部始終を僕の為によかれと彼女に横流ししたり、話が長引くとつまらないから、どうでもいいと一蹴したり。 もう魔女の件で、誰に愚痴るつもりもない。 魔女の存在を認知していないこのブログでせめてもの垂れ流しをする以外、発散の手段も無い。

 心底疲れた。 ネットがどうとか以前、人間の繋がりというものに疲れた。 どいつもこいつも信用に値しない。 遊ぶ分には最高の奴らばかりだけど、どいつもこいつも自分、自分、自分。 勿論僕もそうなんだけど、誰かを蹴落としまで自分を取ろうとは思えないよ。 普通そうじゃないの? 僕がキレイゴトを並べすぎてるの? 怖い、怖い怖い怖い。

 

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 なーんて荒唐無稽な妄想を並べ立ててみましたー。 上のような事実は一切無いし、仮にあっても僕の主観に基ずく妄想でーっす。 やー、ホント被害妄想って言うか、心がねじ曲がった人は怖いねー。 僕ももっと前向きに、プラス思考な人生を歩みたいな^^;

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