黄金の大地 前編

 さくり、さくり。

 さくり、さくり。

 一本一本丁寧に、男性器が植わっていく。

 

 さくり、さくり。

 さくり、さくり。

 数百、数千の男性器が、果てない荒野を埋め尽くしていく。

 

 キッカケは、ただの暇つぶしだったように思う。

 何もすることがなくて、手持無沙汰なこの僕と、生命の欠片すら見当たらない、潰えた大地の状況が、妙にリンクしていて嫌だった。

 けど、僕がこの土地を蘇らせてやろうとか、何かを変えるキッカケになればとか、そんな大志は抱いてなかった。

 空いた時間を、空いた手を、何でもいいから、ナニでもいいから、只、埋めたくて。

 僕はそっと、男性器を植え始めた。

 

 さくり、さくり。

 さくり、さくり。

 植えて、埋めて、埋めて、植えて。

 単純作業は苦じゃなかった。 結局のところ、一番苦だったのは自身の暇だったんだろう。

 

 男性器が土の抵抗を押しのけて、大地に根を張る感触が好きだった。

 垂れる汗を拭ったシャツに、こびり付いた男性器の香りが好きだった。

 土地に合わせた男性器を選別し、その想像が見事にフィットした瞬間の、パズルゲームのような攻略感が好きだった。

 手が男性器で埋まり、大地に還してまたカラとなり、目的の矛盾と、達成とが、交互に押し寄せてくる、不思議な感覚が好きだった。

 そう、僕は好きだったんだ。

 この行為が。

 男性器そのものが。

 

  * * * * * * * *

 

 さくり、さくり。

 さくり、さくり。

 荒野を埋め尽くした男性器が、視野いっぱいに広がっていた。

 肌色、黒、赤色のコントラストが、仄かな刺激臭を携えて、とても綺麗に映えていた。

 

 でも僕は、自分が生み出したその光景に、興味なんてなかった。

 既に目的は、男性器を植えることではなく、植える行為そのものにすり替わっていた。

 男性器を植える度、歩を進める度、世界は、一歩ずつ、一本分ずつ、広がっていく。

 僕は男性器を通して、旅をしているような気持ちになっていた。

 旅路は、いつの日か必ず終わる。

 その現実を考えないように、思い起こさないように。

 僕は必死で、男性器を植え続けた。

 

 続く

Leave a Reply