KEYというエロゲメーカーがある。 いわゆる泣きゲーの始祖と言われているメーカーだが、泣きの部分のみならず、人物設定や台詞回し、BGMや独特のキャラデザインが秀逸で、僕はこの会社が生み出す作品が大好きだった(今も好きだけど)。
ある日、KEYのメインシナリオライター件音楽プロデューサーである麻枝准が全脚本を手がけたアニメが誕生した。 Angel Beats!と銘打たれたその作品は、至るところに初アニメ脚本の拙さを感じるものの、滲み出る麻枝節に唸らずにはいられない、ファン垂涎の名作となった。


Angel Beats!は麻枝准のシナリオ力のみならず、音楽力にも力が注がれた。 主題歌は2010年アニソンNo.1ヒットとなり、劇中バンドも本作品と同等以上の評価を受け、出る曲出る曲がオリコンにチャートインする事態に。
関連キャラソンが爆売れしたけいおん!と違い、演じた声優ではなく無名のプロアーティストが声を当てた、いわばイメージソングとも言うべき楽曲のヒットは、業界を震撼させるに十分なインパクトを与えた。
劇中バンドの一つでヴォーカルを担当したLiSAは、本作品をキッカケに広く名を知られるようになった。 キュートでパンキッシュなLiSAというキャラクターは、流行り廃りの激しいアニソン業界において確かなオンリーワンを示し、グイグイと頭角を現して行った。

元々アニメをよく見る僕だから、黙ってても彼女を目にしていただろうが、気にかけるキッカケとなったのはAngel Beats!であり、麻枝准であり、エロゲーメーカーのKEYである。
おっと、彼女のアルバムに楽曲を提供しているアーティストの中に、僕の大好きなUNISON SQUARE GARDENの田淵智也の名があったことも、キッカケの一つとして付け加えておこう。
こんな具合に、星空みたいな無限大でもって広がる世界も、選択者が僕と言う名の個人である以上、無作為に掴み取った点と点が、いつしか交差する線へと導かれるのは必然。 有から有を辿り歩くだけで、見知らぬ無が浮かび上がってくる。
始まりはきっと、凄くちっぽけな何かで、僕の人生ってやつは恐らく、繋ぎ合わせの答え合わせを繰り返しているだけなのだ。 何が欠けても現在はない、だからこそ、始まりを導いてくれた全ての過去に、感謝せずにはいられないのだ。
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LiSAに楽曲提供したアーティストは他にもたくさんいて、様々な人間がイメージしたLiSAをを耳にする中、僕は一つの奇作に気がつく。 明らかな異色と戦慄を植え付けた二つの曲は、偶然、もとい必然にも、同じアーティストが手がけた作品だった。
アーティストの名はwowaka。 なんとボカロP出身。 何故、なんと、かって、実は僕、ボカロPにはあまりいい感情を抱いていないのである。
ボカロPが作る音楽ってのは、個性的なようで無個性、自由なようで不勉強な中二サウンドが群雄割拠しているイメージ。 今の中間マージン取りまくりな音楽業界が正とは言わないけれど、一人で築いた音楽なんて、何処までいっても独りよがりの範疇なのです。
まあ、嫌いではないのだけれどね。 苦手なだけで。 強いて言うなら、食わず嫌いと言うやつ。 歌ってみたのカラオケ好きは嫌いだけど。
閑話休題。 だから、このアーティストの楽曲を自然と耳にする機会はなかったのだと思う。 それが今となっては、彼の作品を片っぱしから引っぱり出し、聴き漁っている始末だ。 エロゲメーカーから始まった出会いが、遂に僕の苦手な分野にまで足を運ばせたのである。 これはちょっとした革命だよ。
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知り尽くした気でいても、人生ってやつは奥が深い。 次はどんな驚きが飛び込んでくるだろうか。
例えば先日合コンした女の子はことごとくヘドロの集まりだったけれど、我慢して連絡先を交換した子と線を繋ぎ止めておければ、その先にあるナースと言う名のリアルコスプレワールドが扉を開くのだろうか。
あるいは泥酔してうっかりLINE交換したキャバ嬢の営業メールがしつこいけれど、ここも我慢して繋ぎ止めておけばその先にある風俗嬢と言う名の乱れた性世界が扉を開くのだろうか。
僕の世界は、どんな可能性とだって繋がってる。 だからきっと、どんなヴァギナとだって、繋がれる―――(曇り一つない純粋無垢な瞳で)
