くぱぁ大魔王 第一章『爆誕~open the door,deep under~』

 意識は朦朧としていた。 パンッパンッと皮膚を弾く甲高い衝撃音が、辛うじて現世との繋がりを保ってくれている。 痛みは既に風化して、刺激とは呼べない領域に達していた。 いっそ落ちてしまえば、意識も、心も、堕としてしまえたのなら、どれだけラクだろう。 出野暮はうっすらと、叶いもしない現実逃避に意識を投じていた。

 もう何時間経過しただろう。 時計のないこの場所では、数分数秒が永遠の如く感じられる。 もう何回射精されただろう。 最初は不快でしかなかった肛門のぬめりも、今では身体の一部と言えるほどに馴染んでいる、馴染んでしまっている。 出せば終わる、なんて淡い希望、願望は、数時間前に潰えていた。

 「お前・・・クッ、凄まじいのぉ・・・締める、どこまでも締めおる・・・!こんな名器に出会ってしまっては、流石の余も・・・限界を突破せざるを得ないではないかッ・・・!」

 好き勝手な妄言をほざきながら、後ろの男は腰を振り続けている。 表情は見えないが、恐らく満面に笑みを浮かべているのだろう。 顔が見えない恐怖は、いつの間にか安堵に変わっていた。 自分にこんな仕打ちをしている人間の顔など、見えない方がいいに決まっている。 明日になればきっと、全てを忘れたフリして過ごしていけるはずだから。 そう、これは悪い夢なんだ。

 

 僕の名前は出野暮 炉炎(でやぼ ろえん)。 親がつけたDQNネームに絶望し、町外れの裏路地で野グソをしていたらこの男に捕まった。 確かにポケットティッシュを持たずに野グソした僕にも非があるのだろうが、誰にだってうっかりしちゃう事はある。 おろおろしている僕にティッシュを差し出してくれた男を、どうして疑うことが出来るだろう。 無事にケツを拭いた後、実は携帯ウォシュレット機を持っているという男の申し出を、どうして断ることが出来るだろう。

 その結果が今の状況だ。 ケツを差し出し、ウォシュレットの到来を待ち望んでいた僕に与えられたのは、極太の肉棒だった。 やや軟糞だった為、湿っていた僕の肛門は容易く異物を受け入れ、数えられただけでも8回の射精を男に許してしまっている。 肛門に何発注がれたところで妊娠するワケがない・・・そんな常識を覆すほど濃厚な射精に、恐怖を通り越して感動を覚えてしまった初射が、もう遠い過去のようだ。

 「うっひぃぃィィィ~~~~~ッ! マジで気持ちぇええええ~~~~~ッ! 16発目ッ! 派手にイくでぇ~~~~~~ッ!」

 マジかよ、16発目かよ。 僕は心の中で舌打ちをして、つまりは16回目の祈祷を捧げる。 種が切れますように、種が切れますように、これが最後の一発でありますように、お願いです神様、どうかこの地獄から、僕を解き放って下さい。 もうDQNネームにも文句言いませんから。

 「・・・・・ッッッッッ! ・・・はぁぁぁァァ~~~~~ッ、最高のケツマンコじゃのぅ・・・この調子なら最低20発、30の大台に乗せることも夢では無いのォ・・・、・・・ォッ? ククク、お主も悦んでおるようじゃのう? ケツマンコが激しく震えて・・・クゥゥゥーーッ、まだ余を搾る気かッ! この名器めッ! 次は背面座位イくでェェェ~~~ッ!」

 絶望には馴れたはずだった。 幼稚園で名前を呼ぶ度に苦笑いを浮かべる先生、クラスが変わる度に嘲笑われる教室内、下の名前を聞いて別れ話を切り出してきた元カノ、行った銭湯で貰ったインキン、外で床オナして貰ってしまったカンジタ、そして自分の名前がDQNネームだと知った今朝。 何度も何度も絶望して、その度蘇ってきたはずだった。 今回も、きっと立ち直れる。 呪文のように、念仏のように唱え続けて来たけど、もうダメかもしれない。 ・・・こんな仕打ちが、あと何発続くって?

 意識は朦朧としていた。 パンッパンッと皮膚を弾く甲高い衝撃音が、辛うじて現世との繋がりを保ってくれている。 もう嫌だ、何が名器だ、僕の肛門が緩かったなら、こんな事にはならなかったとでも言うのか、もう嫌だ、そんな名器僕はいらない、もう嫌だ、僕は名器なんて嫌だ、もう嫌だ、締めたくない、もう嫌だ、死にた、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だ誰か助けて―――――

 

 「・・・んんんっ? 突然緩く・・・な、なんだこれは、余の見つけた名器がガッバガバに・・・? ど、どうなっておる・・・? これでは射精出来ん・・・! おい小僧、ふざけてるのか? ちゃんと締めろッ! 締めるんじゃッッッ!!」

 

 後ろの男が何か言っている。 緩い? 締める? 何を言っているんだ? 僕にそんな技術はないし、あったとしたらとっくに使っているだろう。 このタイミングまで、その技を行使しない理由が無いのだ。 しかし、この男の言っていることが本当だとしたら、僕は急に・・・緩くなった? ならば、この地獄から、無限地獄から解放される? 本当に? 本当に?

 

 「クパァーッパッパッパッ・・・ もうその男のアナルは使えんでくぱよ? 残念だったでくぱぁね・・・」

 「!? なっ、何奴ッ!?」

 「我が名はくぱぁ大魔王・・・ この世の混沌と・・・果てる事無い永遠のくぱぁを呼び起こす者でくぱぁ」

 

 

 

続く

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