※↓は2004年に書かれたものをそのままうpしております。青さを焼き付けろ。
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この文章を書いているのが2月末なので、3月末に上京してきた僕だから、ちょうど1年が過ぎようとしているのか。 時間の流れというものは、呼吸のように自然で、竜巻のように激しく、そよ風のように冷たい。
僕が東京に上京してきたのには理由がありました。 いわゆる夢、って奴ですか。 上京当時は、そんな陳腐な言葉で終わらせるつもりもなく、目標、もしくは野望って認識を体にくくりつけて、手の届く未来を追い求めているイメージでした。 実際今も、そこんとこの底辺は変わってません。 ただ、積み上げてきたものが揺らぎ始めたから、こういう文章で茶を濁しているだけ。 誰だってだだっ広い草原を歩いてるワケじゃあない。 障害物も凹凸も天災も、あって然るものだからね。
僕はレコーディングエンジニア、というものになりたい。 その前は、バンドのボーカリストとして、いわゆるアーティストになりたかった。 夢を再構築した理由は、そりゃあもう沢山の事情と言い訳があったんだけど、やっぱりこの言葉を当てはめるのが一番適当だと思う。
妥協。
よく言えば、現実を見た。 悪く言えば、心が歳を食った。 才能のない人間に進める花道なんてない。 努力と興味だけで進めるような旅路じゃない。 自分に限界を見た時、考えたのは逃げ道だった。 努力と興味だけで、才能のない人間が進める花道を探した。 どんなにしおれた花だって、それに似た道ででも歩んでいたかったんだ。 そしてそれは、表舞台のスターを支える、裏方への道と直結した。 何故か、心がホッとした事を覚えてる。
そう思い立ったのが高校3年生の春。 進級直後、卒業を意識し始めたその時期に、僕は専門学校という進路を選択。 それが最もだ、と信じて疑わず、僕は簡単な手順で夢への架け橋を手に入れた。 進む事である程度の満足を得て、それでも御立派な大志だけは抱いて、指標も目的地も、全て学校が用意してくれるかのような妄想を抱いた。 一番青臭かった、最後の青春時代。
現実は重く、学校生活をなあなあで過ごした僕に対する世間の風は冷たかった。 就職活動の動きも遅かった僕は、とうとう何も手繰れないまま、卒業の日を迎えてしまう。 急に訪れる未来への不安、薄れていく渇望、そして視野に入る一般企業への道。
そして、僕は東京にやってきた。 “スタジオ関連の求職が最も多く、可能性を秘めているから” なんていう取って付けたような理由を武器に、何の当てもなく、僕は東京にやってきたんだ。 妥協で道を選んだ人間の末路と、自分を嘲笑った事もあった。 案の定、初めの数ヶ月は、本当に何の可能性も見出せない日々が過ぎていった。 でも、転機は突然訪れる。
人との出会い。 同じように音楽を志し、野望に燃えた一人の人間との出会い。 それまでのくすぶりを突き崩すような活動が始まった。 過ぎた過去での体たらくを取り戻すように、自分に足りなかったものを埋め始めた。 機材、スキル、そして人脈。 金で買えるものは、切り詰めてでも購入した。 労力で得られるものは、擦り減らしてでも追いすがった。
ただ一つ言える事は、それは自発的な何かではなく、ケツを叩かれ、追い急かされた結果の行動であるという事。 それが終始僕を苦しめる事となる。 自分の意志が無いワケじゃない。 でも不安は募った。 “一人では何も出来なかった” “これは本当に自分が選んだ選択なのか” 繰り返しては飲み込み、繰り返しては飲み込み。 いつか体から溢れ出る日を憂いつつ、それでも飲み込み、飲み込み。
気がつけば、一つの結果が生まれていた。 それが、CD。 レコーディングエンジニアの仕事である、音楽CDの作成。 完全自主制作ではあるが、ほぼ全ての楽曲に関わり、それを自分の手で形にする事が出来た。 夢が夢じゃなくなった瞬間。 昔思っていた言葉が鮮烈に甦る。 目標。 野望。 それがリアルに体内を駆け回った瞬間、上京してから進み続けていた僕の時間が、ほんの刹那だけど、止まった気がしたんだ。
妥協で始めた偶像の産物は、今やかけがいの無い愛しき物へと姿を変えている。 出発点や過程が曖昧だから、備わった力も当然曖昧だ。 力不足に嘆く事もあるし、気持ちが薄れて投棄したくなる事もある。(だから僕は、自分が生きている事を感じる事が出来る。 そもそも何の迷いも無く、馬鹿みたいに未来だけを信じて歩む事なんざ出来やしない。 冒頭でも述べたけど、だだっ広い草原で生きているワケじゃないんだし、言うなれば未開の現地で、何かに陥るのは当然の事と言えるからね)
だけど、やっぱり自分に対する不安は募るんだ。 形になってしまった事で、一瞬時間を止めてしまった事で、今まで以上に冷静な視野で自分を省みる事に成功した。 するとやっぱり薄っぺらい僕。 現実の僕は、脂肪で体を覆い隠した肥満体質だ。 そのくせ大切なものは何一つ身につけちゃいない。 そう考えると心が軋む。 時間を動かす事を、次に進む事を、全身が全力でもって止めにかかる。 それでも動かなきゃいけないって、奥の方から声が聞こえているのに。 声は聞こえているのに。
惰性と背中を押されただけでここまで来てしまった事実。 でも、最初の気持ちだけは本当だと思うから。 一番最初の、原初の思いに嘘は無かったと思うから。 自分が本当に目指したかったものと、今目指しているもの。 差異は確かにあるけど、それは表面だけで、真相は何も変わっちゃいない。 目指したいものを目指す、という事。 それには死ぬまで嘘をつく事のないよう、まだまだ負の気持ちは無限大に湧き出していても、芯を持って歩いていこうと思う。 惑った時は、ココやリアルで愚痴でも吐いて。 時々は休んでも、すぐに歩き出せるように。 進む事だけは、やめないように。
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活動の節目に考えた、僕なりの結論。 無理矢理のプラスエンドではあるけど、本当に辛い時にはこの文章を読み返して頑張りたいと思います。 プラスに転じようと奮闘した、そんな僕の雑記。 ああ大丈夫、読み返したくなるような時には、当然君にも手を借りる事になるだろう。 だけど、色んな場所に逃げ場所を作っておきたいじゃない。 人一人を背負いきれるほど、人は強靭な生き物じゃあないからね。
