2001年10月30日 PM 3:46
高校生。
やがて来る冬の息吹を感じながら、同級生達は肩を寄せ合い、
肌寒さを振り解くように、いそいそと家路に就いている。
いつも通りの、街路樹。
いつも通りの、光景。
僕はそんな集団を、走り去る景色と同じように眺めていた。
父の車はゆっくりではあったが、
それでも人が歩くのに比べれば数段速い速度で、
見知らぬ彼方へと、僕を誘おうとしていた。
父からの連絡が入ったのは、今日の正午の事だった。
「今日の放課後迎えに行くから」
「え・・・?な、なんで?」
「いいから行くぞ」
「そ、そんな・・・」
「早ければ・・・早い方が良いんだからな・・・」
問答にもならない会話からは、何のヒントも得られなかった。
いや、たった一つだけ。
・・・早ければ早い方がいい?
父の最後の言葉が、胸に引っかかる。
さっぱり意味がわからなかった。
だが、嫌な予感はつきまとう。
捉えようのないソレは、何度も僕を困惑させた。
行きたくない、行きたくないと、何度も僕を唸らせた。
それでも、結局僕はこの誘いを断る事が出来なかった。
流されるままの我が身。
しかし、父が僕を裏切るとも思えず、
何かしらの良い事が待ち構えているのだと
思ったよりも目的地は近く、
その建物、現実を前にするのに、それほどの時間は要さなかった。
僕は、息を呑んだ。
圧倒的な脱力感が全身を襲う中、
心の奥で燻る好奇心が、僅かな高揚を僕に与える。
フフ、そうか。
そういう、事なの、か。
絶望と、好奇。
僕は二つの感情を胸に、建物の中へ足を踏み入れた。
古くて、みすぼらしい室内。
ピリピリとした嫌悪が、感覚を刺す。
しばらく椅子に座って待つように言われたので、
僕は戸棚に収納されていた本を読む事にした。
5分、6分・・・
いつもなら一瞬のその時間も、限り無く長い物に感じられた。
ただ不安だけが、粉雪のように降り積もっていく。
・
・
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永遠とも思われたその時間は、
僕の名を呼ぶ女の声で突然の終了を迎えた。
手馴れた動きで、奥へと誘導するその女。
奥にはみすぼらしい男が鎮座していた。
彼は見透かすような目で僕を見ると、幾つかの質問を投げかけてきた。
最初は最近の体調など、他愛の無い会話だった。
僕の心境とは対称的に、会話はスムーズに進んでいく。
よかった・・・このままいけば普通に帰れそうだ。
僕の頭に突き刺さっていた未知の恐怖は、
取り越し苦労という最良の形で、結末を見出そうとしていた。
しかし。
「よし・・・じゃあ隣の部屋に入って」
確かな違和感が、そこにあった。
後ろを振り向くと、先程まで真顔だった父が笑顔を浮かべている。
ゾッとする笑みに、僕は全身逆毛立つのを感じた。
もう一度前を向き、その見知らぬ男の顔を凝視する。
年齢は50代後半といった所だろうか。
少し狂気を含んだ瞳、色んな意味で紙一重な容姿。
そしてこの男もまた、気味悪く笑っている。
なんだ。
なん、なんだ。
その時に逃げ出していればよかったのかもしれない。
だが僕は言われるままに、隣の部屋へと移動してしまっていた。
車に乗り込んでしまった時から、
僕は既に囚われてしまっていたのかもしれない。
絶望と、好奇。
迫り出した、好奇の檻に。
隣の部屋に移動して初めに目についた物は寝台だった。
軽い仕切りが施されており、部屋自体は先程の個室よりも狭く感じる。
そうこうしているうちに、先程の男が入ってきた。
そして、無機質に何かの準備を始めながら、
カフェでコーヒーでも頼むみたいな口調で、男はこう吐き捨てたんだ。
「・・・じゃあズボンとパンツを脱いで、見せてごらん」
・・・・・・なんだって?
暫くの間、僕には言葉の意味が理解できなかった。
閉鎖された空間とはいえ、公共の場で、だぞ?
いや、閉鎖されていなくたって、何故、その、イチモツ、を?
狂気の沙汰の世迷い事にしか、思えなかった。
「いいから全部脱いで、ホラ」
しかしその男は、それが至極真っ当な要求であるかの如く、
下半身を晒す事を、僕に強要し続け、
最終的には半ば強制的にズボンを降ろされ、パンツも降ろされた。
下半身を見知らぬ男に露出し、それを舐めるような目つきで覗かれる。
この状況は、羞恥の一言に尽きる。
かねてから、ホモやゲイの類に襲われたら絶対抵抗してやる、
泣き寝入って襲われる男の気持ちがわからない、と思っていたが、
現実にやられて初めて、恐くて抵抗なんて出来ない事を知った。
これから起こる事を想像すると、ただただ恐怖だけが全身を巡り続けた。
「じゃあそのベットに寝そべって」
遂に来た、という感じだった。
僕は脅えながら、泣く泣くベットに寝そべった。
「・・・・・・」
男は、僕の一物をじっくりと観察していた。
羞恥と恐怖で頭がどうにかなりそうだった。
しばらく見た後、男は突然僕の足を持ち上げ、股を無理矢理開かせた。
「あっっっっっっっっっ!!!」
僕は思わず声を上げたが、男は無視した。
股を戻す事も叶わず、恥ずかしい体勢を維持させられる。
性行為時に股を広げられる女性の羞恥が身に染みてわかる。
これは恥ずかしい。裏スジから玉までモロ見えだ。
僕はもう死んでしまいたい気持ちでいっぱいだった。
そこから少しずつ男の愛撫が始まる。
先端を指先で触り、そして玉をさする。
手付きがプロそのものだった。
感覚が麻痺して、痛みも不快感も快楽も無かった。
あったのは、ただただ圧倒的な絶望感のみ。
そして触る度に、
「ここは?ここはどうだ?」
と言葉で虐めてくる男。解る訳がねえ。
僕は女性経験も無いまま、男性に辱められるのだろうか・・・。
そう考えた時、一つの謎が解けた。
それは父が放った初めの言葉。
「早ければ・・・早い方が良いんだからな・・・」
アッー!
・・・そういう事だったのか。
早ければ早い方がよい。それは僕の経験の事だったのか。
高校を卒業した時に童貞じゃ可哀想だと、親が仕組んだ事だったのか。
つまりこの行為は両親公認。
僕は・・・親心で男に発掘されるのか・・・。
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・
涙も既に枯れ始めていた。
男による愛撫は続く。
恐怖の感覚も曖昧になり始め、僕はただ時が過ぎ行くのを待った。
あぁ、貝になりたい。
生まれ変わるなら僕は、貝になりたい。
だって貝なら、男にほじくられる事もないだろう・・・?
そうやって意識を殻に閉じ込める直前、愛撫の手が止んだ。
・・・終わったのか?
まさか、果ててもいないのに?
疑念に満ちながらも、僕がわずかに気を許した、その刹那。
ズブッ
「あアァぁアぁアァあぁアあぁアあァあ!!!」
男の指が、僕のアナルの深淵に沈み込んでいった。
そう、ついに拡張工事が始まったのだ。
「力を抜いて・・・」
抜けるか馬鹿野郎、と僕は心の中で咆哮した。
指はどんどん奥深くまで入っていく。
苦しい、痛い、辛すぎる。
しかもよく見ると同時に僕のナニまで愛撫しているでは無いか。
今までのは遊び、僕を油断させる為の、フェイクだって言うのか。
それを明かすと言う事は即ち、フィニッシュが近いと言う事。
次はきっと、奴の大将が来る。
・・・大将だって?
眩いほどの恐怖に顔を歪めながら、
もう限界、とばかりに、
僕の意識はフェードアウトしていった・・・
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と、いうワケで
初泌尿器科体験レポートでした♪
いや、なんかそうやってオチを言っても苦しいんですけどね
