ストーカー・ロブスター 3

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 見事、希望する学校に入れなかった僕は、生徒会など学校行事への情熱も消え去り、真面目だった過去を塗り潰すかの如く、凡庸な娯楽にハマっていきました。 バンドを筆頭に、次々と開けていく世界。 瞬く間に垢抜け、親のおさがりしか着ていなかった灰色時代は爽やかカジュアルに上書きされ、根っこに張り付いたヲタク精神は消えないものの、一般ピーポーへの階段を歩き始めたことを、日々実感していました。

 色んな意味でモテモテだったあの頃より人気は落ちてしまったけど、「あぁ、モテ期って本当にあるんだな」「チヤホヤされてる勢いでおっぱいとか触っとけば良かったな」「だって中学生おっぱいやで 今揉んだら犯罪やでと郷愁に暮れつつ、かといって激動の高校時代を前に立ち止まっている暇は無く、新しい世界を満喫しておりました。 まぁ、新しい世界では女性不信が本格化して大変だったんだけど、それはまた別のお話。

 

 薬物依存女が小学校担任から聞いたあのロブスターと 完 全 に 一 致 だとわかったのも、ちょうどこの頃でした。(友達の妹と同じクラスだったので話が聞けた)

 妹さんから改めて聞いた情報によると、常に複数人の男子を連れ歩いていて、男の話が絶えなかったとのこと。 同じ学校の人間には興味が無く、辛うじて興味を持っていた上級生に対してもほぼスルー。 唯一、僕だけが過去に連れ回してきたどの男ともタイプが異なり(デブヲタって希少価値だっけ?)、校内で有名だったこともあって、目を付けていたとのこと。 有名な男=ステータスというのは、中学生レベルでも考えることなんですね。 今なら当然なのかもしれませんが、20世紀末にそんな話を聞けるとは思っても見ませんでした。

 聞いた時は、何故母校で話を聞いた時に対策を講じなかったのか、と後悔が頭を巡ったものですが、それも既に過去の話。 彼女が僕以上に勉強が出来ない事は聞いていたし、本命の公立に落ちたとはいえ、滑り止めの私立もそこそこレベルが高く、しかも僕は特進クラス。 万に一つも彼女と同じ高校になる事は無い、つまり追撃は無い。 大体、あれから数年経って僕の人気持ちに落ちたし、彼女の性格から考えてずっと狙い続けるなんて事は無いでしょう。 きっと、また別の男を毒牙に掛けているに決まっている。 だから悪夢に頭を抱える必要なんてないんです。 そもそも特定の女子にずっと愛されてる、なんて妄想に囚われたくなかったし、自意識過剰チャン乙とかホント怖い単語だった。

 安心を覚えた体は、少しずつ、でも確実に、彼女の存在を記憶から消し始めました。 アルバイトを始め、忙しい毎日にも記憶抹消にも拍車がかかり、いつしか笑い話として思い出すことも無くなっていました。 春、夏、秋、冬、四季は巡り、馴れない垢抜け生活に戸惑いながらも、過去のデブヲタ時代を完全なる黒歴史にする為、メル友と出会ったり女性遍歴の払拭をも企てていた時。 過去なんて見ていられない、未来だけを見据えていた、そう、そんな時。 悪夢が蘇るのはそんな時。 たまたま遊んでいた旧友の一人が、突然こんな事を言い出しました。

 

 「瀬駆、彼女出来たんだって?」

 

 从リ ゚д゚ノリ  ←その時の僕を的確に表してくれる顔文字

 

 えーっとね、うん。 気持ちはわかりますよ。 確かに僕は超IKEMENだし、性格もとびっきりにGOODだし、彼女の一人や二人や百人弱、出来てて当然、って考えるのはごく自然。 でもね、あのね、とは言えね、いくら垢抜けてもそう簡単に女性苦手は克服出来ないのよ? ていうか今、克服ナウなんだよ。 わかる? 旧友の君達にはわからないかもしれないけど、これって並大抵の努力じゃねえんだよ?

 同時に、僕ぐらいのIKEMENになると、向こうからしても高嶺の花じゃん? ね? ホラホラ、彼女出来にくい環境だよね? わかるよね? わかるよね? わかるよね? わかるy(もういいから

 そんな僕の熱意が伝わったのか、彼は少し、ありゃハズしたかな、って顔をしてました。 その後、すぐに疑問の表情を浮かべ、「でも、彼女いるって聞いたよ?」と、摩訶不思議且つ素っ頓狂な主張を僕にブツけてくるのです。

 ・・・もうなんか、呆れて物も言えません。 なんだそりゃ。 誰だ、そんなデマ言ってんのは。 僕は根拠の無いデマと垂れ過ぎた巨乳が嫌いなので、とても不機嫌。 彼にわかるようにため息を吐いたり、不快全開。 そういう一方的なのはもう中学の頃に卒業し・・・痛ッ、アレ、なんだか急に頭痛が・・・忘れていたはずの記憶が・・・とても大事で不快な記憶があったような・・・、痛つつつつ・・・

 

 「おかしいナァ、確かに聞いたのにナァ」

 「痛つつつ・・・誰に聞いたんだよ、そんな事・・・」

 

 瀬駆の彼女本人から

 

 

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 ぞ わ っ